戦慄のカルト
極悪教祖と蟻塚の子供達
映画「Savage Messiah」の基となった事件

恐怖と悪夢の洗脳カルト、あなたはいくつ知っていますか?
過去を振り返れば、数々のカルト団体が世界各国で事件を起こしているのが分かる。
中にはそこまでの知名度はないものの、恐ろしく危険な団体もあった。
例えばそう、アント・ヒル・キッズ。
この団体が生まれたのは1977年のカナダ。
大人も子供も入信していたこの団体では、教祖の言葉が絶対ルールだった。
同じ人間とは思えない、最悪の教祖による悪夢のような支配の日々。
この教祖はなんと信者に対して、麻酔無しの自己流手術をしたのだ。
1977年
カナダ、ケベック州 サントマリー
この年、ある男の呼びかけで集まった人々により、1つのコミュニティが結成された。
コミュニティのメンバーは、1970年代の半ばから団結と平等の中で暮らし、罪から自由になれるという教えの元に活動していた人々だった。
そんな人々のリーダーとして君臨していた男の名前は、ロック・テリオー。(ロシュ・セリオルトとも)
自然食品の店を開き、終末思想を説き、女性信者達に26人の子供を産ませた教祖。
団結と平等と言いながら、のちにこの男は、信者の人達に耐えがたい苦痛を与えるようになるのである。

◆団体ができるまで
ロック・テリオー
1947年5月16日
カナダ、ケベック州の生まれ
フランス系カナダ人の家庭で育ったロックは、少年時代はとても優秀な生徒だった。
しかし明るく真面目な性格の裏側で、ティーンエイジャーになる頃には歪んだ精神が少しずつ育っていたという。
というのもロックには虚言癖があり、また誇大妄想も激しかった。
友人らはロックの嘘に呆れることもあったが、話し上手で明るく頭の良いロックは、基本的に皆から好かれていた。
しかし優秀だったにもかかわらずロックは10代半ばで学校を辞め、そこから独学で旧約聖書を学び始める。
「世界の終わりがやってくる」と信じていたロックは、一方で小動物を捕まえては解剖をしていたという。小動物へのこのような行ないは、ロックが20歳になり、結婚と離婚を経験してからも続いていた。
明るく人付き合いも上手い性格の裏で、仄暗い狂気も育まれていたのだ。
大人になったロックは別の町へ住居を移し、自然食品の店を開いた。
健康的で害のない食べ物、それらを口にすることによって病から身を守る自然療法。そして飲酒や喫煙などの害あるものを捨てさせるセミナーを行ない、こういったロックの思想に賛同した人々が、やがてロックの信者となっていった。
ロックは自分を慕ってくれる人、つまり信者である17人の男女とその子供達と共に人里離れた山の中へと入って行き、丸太小屋で共同生活を送るようになった。
その際、信者達には仕事や家を捨てさせ、全財産を団体に寄付させている。
ロックは自らをモーゼと称し、神に繋がる偉大な男であると信者に信じさせた。
カルト教団による小規模なコミュニティの誕生。
ロック・テリオーは、ここから一気に狂気的な本性を剥き出しにしていくのだ。
まずロックは信者に飲酒喫煙を禁じていた割に、自身は好きなように酒を飲んでいた。しかも酔っ払ったロックは、信者の子供達に手をあげていたのである。
またロックはコミュニティの拡大を計画していた。
そのため全ての女性信者と関係を持ち、全員に子供を産ませた。
ロックの妻となった女性信者は9人、生まれた子供達は20人以上。
コミュニティは一番多い時で 実に40人の信者がいたといわれている。
ちなみに早めに紹介しておくと、このロック・テリオーの狂信的な団体の話は映像化されていて、当時U-NEXTで配信されていたので僕はそこで視聴した。
「アント・ヒル・キッズ 一夫多妻カルト集団(原題:Savage Messiah)」というタイトルなのだが、この話の中でもロックの子供達への差別がはっきりしていて非常に憤りを感じた。
自分と女性信者の間に生まれた子は可愛がるのだが、元々女性信者が連れて来ていた子供は「奴隷」と呼んで、普段は見向きもしないような感じだったそうだ。腹が立つ。

◆アント・ヒル・キッズ
1983年、コミュニティ内で1つの事件が起こった。
ロックが一人の若い信者に去勢手術を施し、故意か事故か命を奪ってしまったのだ。
しかも反省することなく別の男性信者にも同じことを行なおうとした。
ところがこの男性は必死の思いでコミュニティから逃げ出し、すぐさま町の警察に通報。そうして警察が山の丸太小屋に駆け付け、ロックを含め事件に関与していた6人の信者を逮捕したのだった。
だが、これはまだ始まりに過ぎなかった。
なんとロックは、わずか1年半で釈放。釈放後は信者達を引き連れてオンタリオ州へと移動した。
そして自身の団体を、「アント・ヒル・キッズ(アリ塚の子供たち)」と命名。
信者だけで小さな集落を築き、自給自足や物々交換で暮らすようになったのだった。
しかしロックは懲りずに酒を飲んでは、ますます支配的・暴力的になっていった。
・自分がいないときは信者同士の会話を禁止。
・自分の許可なく信者同士で男女の関係を持つことも絶対禁止。
中には夫婦で信者になった者もいたが、当然夫婦の妻はロックの子を産んでいる。それが普通になっていたのだ。
そしてロックは団体名にちなんだ働きアリのごとく、朝から晩まで信者達を働かせた。
女性たちがパンや焼き菓子を作りそれを町で販売で生活費を得ていたのだが、充分な稼ぎがない者に対しては容赦なく体罰を行なっていた。
ベルトやハンマーをふるって痛めつける、天井から吊るすなどの最悪の行為は、稼ぎが少ない者だけではなく、コミュニティをやめたいと申し出る信者にも行なわれていた。
怠け者も、裏切り者も、絶対に許さない。
他にも火のついたストーブに座らせたり、信者同士で体罰を与え合うよう命令したり、勝手に男子の割礼をするなどといったことも行なわれていた。
そして恐ろしいことに、ロックは先述した去勢手術の他にも自らの手で信者の手術を行なったことがあるという。
「胃の調子が悪い」と訴え出た女性信者に対し、ロックは麻酔を使わずに自分勝手な手術を行なったのである。
内容は手術とはとても呼べないものだった。
まるで泥んこや砂場で遊ぶ子供のようなノリで、女性に色々な器具を使って惨い手術を行なったのだ。
当然、この女性信者は亡くなってしまった
ロックは彼女の遺体を信者に埋めさせ、2週間後に掘り起こさせている。
そうして「復活の儀式」と称して遺体をも汚らしい方法で侮辱し、最終的には燃やして再度埋めさせた。
↓閲覧注意(Wikipediaより引用)
彼は彼女を裸にしてテーブルに寝かせ、腹を殴り、プラスチックのチューブを彼女の直腸に押し込んで糖蜜とオリーブオイルで粗雑な浣腸を行った。彼はナイフで彼女の腹部を切り開き、素手で腸の一部を引きちぎった。
(中略)
蘇生の力を持っていると主張するテリオは、信者たちにボワラールの頭蓋骨のキャップをのこぎりで切り落とさせ、彼女の脳に射精した。

◆教団の崩壊
1987年頃。
ロックは別の女性信者に体罰を行なった。
歯を抜かれたり体を傷付けられた女性は、堪らずアント・ヒル・キッズから逃亡。
しかし他の信者たちに捕まってしまい、ロックは更なる拷問を行なった。最終的にロックは、この女性の腕を肩から切断したのである。
2年後の1989年。
ロックから惨い仕打ちを受けたこの女性は、再びアント・ヒル・キッズから脱出した。
今回の脱出は何とか上手く行き、彼女はすぐに警察に通報を行なった。
通報を受けた警察はただちにアント・ヒル・キッズの拠点へ向かったが、ロック達の姿がない。警察が来る前に逃亡していたのだ。
警察が捜索を続けた結果、約6週間後――ロック達が荒野にいるところを発見、逮捕。
アント・ヒル・キッズは事実上解散となった。
ロックには、女性信者への暴行罪で12年の禁固刑がくだされた。
ロックの逮捕で多くの信者はアント・ヒル・キッズから脱会していったのだが、何人かはとどまり、その中でも4人の女性信者が個別面会の時にロックと交わり、一人ずつロックとの子供を産んでいる。
しかし逮捕のきっかけとなった女性信者の証言が、ロックの非道な行為を白日の下に引きずり出した。
女性の証言と警察の捜査によって、例の手術をされた女性の死にロックが関わっていることが明らかとなったのだ。
1983年にも男性信者をあやめた罪で逮捕されたロックである。
そうして1993年。
裁判の結果、ロック・テリオーには終身刑がくだされた。
しかしこれだけのことをしたにも関わらず、女性信者の中にはまだロックを盲信している者もいた。
2000年。
ロックはカナダ・ニューブランズウィック州のドーチェスター刑務所に移送された。
ロックを信じている女性信者達は刑務所の外でパン屋を開き、ロックの仮釈放を待っていたという。
2002年に仮釈放の申請を行なったロックだが、再犯の可能性が高いという理由で却下されている。
そして、2011年2月26日。
ロック・テリオーは同じく終身刑を受けていた囚人に刺され、63歳で人生を終えた。
★
独裁コミュニティ「アント・ヒル・キッズ」の教祖、ロック・テリオー。
神や楽園の話をして信者を作り、好き勝手に欲望のまま生きていた男。
しかも遠い昔の話ではなく結構最近のことだというのも驚きだ。
人は暴力で支配・洗脳されると、精神的に逃げることが困難になると聞く。
子供達が全員保護されたなら安心だが、もしも警察の手が及ばなかったらどうなっていたか。考えるとゾッとする。
ルドルフ

本事件を動画で見たい方はこちら
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